並列計算のための Dask Python ライブラリの活用
- Claude Paugh
- 7月24日
- 読了時間: 7分
Daskは、並列計算タスクの実行を簡素化する革新的なPythonライブラリです。大きな問題をより小さく管理しやすいコンポーネントに分割し、それらのタスクを複数のコア、あるいは複数のマシンに分散させることができます。この記事では、Daskライブラリの使い方、その機能、そしてApache Sparkとの比較について解説します。
Daskとは何ですか?
Daskは、Pythonで並列計算を行うための柔軟なライブラリです。単一マシンから複数マシンのクラスタまでシームレスに拡張できるように設計されています。Daskを使用することで、単一マシンのメモリに収まりきらないほど大きなデータセットを管理・操作できます。DaskはNumPy、Pandas、Scikit-Learnといった他の人気ライブラリと連携しやすいため、データサイエンティストやソフトウェアエンジニアにとって魅力的な選択肢となっています。

Daskは、 Dask ArraysとDask DataFramesという2つの主要な抽象化を使用して動作します。Dask Arraysを使用すると、メモリよりも大きな配列を操作できます。一方、Dask DataFramesは、Pandas DataFramesのスケーラブルなバージョンを提供し、Pandasと同様の操作をより大きなデータセットで実行できるようにします。
Daskの設定
Daskを使い始めるには、まずインストールする必要があります。Daskはpipで簡単にインストールできます。
/bin/bash
pip install dask
Daskには、タスク実行を調整するスケジューラを含む複数のコンポーネントが付属しています。シンプルな操作を求める方にはシングルスレッドスケジューラ、IOバウンドタスクにはマルチスレッドスケジューラ、そしてハイパフォーマンスコンピューティングには分散スケジューラといった、様々なスケジューラから選択できます。
Dask をインストールしたら、それを Python 環境にインポートできます。
-- python
import dask
import dask.dataframe as dd
Dask をセットアップして準備ができたら、大規模なデータセットの操作を開始できます。
Daskによるタスクの並列化
Daskを使えば、タスクの並列化が簡単になります。Dask配列またはDataFrameを作成しても、Daskはすぐには何も計算しません。代わりに、実行する必要があるタスクの有向非巡回グラフ(DAG)を構築します。
例えば、大きなCSVファイルをDask DataFrameに読み込み、フィルタリングや集計などの操作を実行するタスクがあるとします。その場合の手順は以下のとおりです。
Daskを使用して大きなCSVファイルを読み取る
df = dd.read_csv('large_file.csv')
いくつかの計算を実行する
result = df[df['column_name'] > 100].groupby('another_column_name').mean()
計算を開始するには
computed_result = result.compute()
実際の計算は`compute()`メソッドによって実行されます。Dask は、利用可能なリソースに応じてタスクを小さなチャンクに分割し、それらを並列に実行します。

DaskとApache Sparkのメリットとデメリット
Dask と Apache Spark はどちらも大規模なデータセットを管理するための強力なツールですが、それぞれ長所と短所が異なるため、プロジェクトのソリューションを選択する際に考慮することが重要です。
Daskの利点
Python API:
Dask はネイティブの Python クラスと構造を使用するため、既存の Python コードベースに簡単に統合できます。
柔軟な実行:
Dask はローカル マシン上で実行することも、クラスターにスケールアップすることもできるため、さまざまなプロジェクト要件に役立ちます。
オーバーヘッドの削減:
Dask はメモリ内のデータセットを操作でき、Python ライブラリと簡単にやり取りできるため、Spark に比べてオーバーヘッドが少なくなります。
タスクのスケジュール設定:
Dask のスケジューラを使用すると、動的なタスクのスケジュール設定が可能になり、タスクをオンザフライで追加および調整できます。
Daskのデメリット
成熟度が低い:
Dask は Spark に比べて比較的新しいため、Spark で利用できる高度な機能や最適化がいくつか欠けている可能性があります。
パフォーマンス:
非常に大規模なデータセットや極めて複雑なワークフローの場合、最適化された実行戦略により、Spark は Dask よりも優れたパフォーマンスを発揮する可能性があります。
限定的なコミュニティサポート:
Dask のコミュニティは成長していますが、Apache Spark と同じレベルのサポートとドキュメントはまだありません。
Apache Sparkの利点
パフォーマンス:
Sparkは、非常に大規模なデータセットを効果的かつ効率的に処理できます。高性能コンピューティング向けに最適化されています。
広範なエコシステム:
Spark は、Spark SQL、機械学習用の MLlib、グラフ処理用の GraphX を含む強力なエコシステムを提供します。
強力なコミュニティサポート:
Apache Spark には大規模で活発なコミュニティがあり、利用可能なリソース、サードパーティのライブラリ、サポートが豊富にあります。
Apache Sparkのデメリット
複雑:
Apache Spark の学習曲線は、特に Scala や分散コンピューティングのより高度な概念に精通していない人にとっては、より急峻です。
リソース集約型:
Spark を実行するには Dask よりも多くのメモリと計算能力が必要になるため、予算やリソースが少ないプロジェクトでは問題になる可能性があります。
Daskのユースケース
Dask は次のようなシナリオで特に役立ちます。
データ分析:
メモリに収まらないデータセットがある場合、Dask DataFrames を使用すると、データ全体をメモリにロードせずに分析できます。
機械学習:
Dask と Scikit-Learn などのライブラリの統合により、機械学習ワークフローを並列化できます。
ビッグデータアプリケーション:
Dask は、分析前にデータを変換またはクリーンアップする ETL プロセスに最適です。

Daskの分散スケジューラを使い始める
Daskのパワーを最大限に活用するには、分散スケジューラの使用を検討してください。これにより、複数のマシンをまたいでDaskタスクを実行できます。設定方法は以下の通りです。
Dask Distributed をインストールします:
-- bash
pip install dask[distributed]
クラスターのセットアップ: 数行のコードで簡単に Dask クラスターを作成できます。
Daskクライアントを起動する
-- python
from dask.distributed import Client
client = Client()
クライアントが接続されたら、DASKタスクをクラスターに送信できます。簡単なタスクを実行する方法は次のとおりです。
-- python
from dask import delayed
@delayed
def add(x, y):
return x + y
タスクを作成する
task1 = add(1, 2)
task2 = add(3, 4)
結果を計算する
result = task1 + task2
computed_result = result.compute()
Dask 分散クラスターを活用することで、ワークロードを効率的に拡張し、パフォーマンスを向上させることができます。
Daskコア機能の探索
Dask は、生産性を向上させるさまざまなコア機能を提供します。
遅延評価:
Dask は遅延方式で動作し、計算を最適化し、必要なときにのみ実行できます。
動的タスクスケジューリング:
前述の通り、タスクの実行スケジュールを動的に設定できます。この適応性は、多くのリアルタイムアプリケーションにとって不可欠です。
統合の容易さ:
Dask は既存の Python ワークフローに自然に統合できるため、使い慣れたツールやライブラリを引き続き使用できます。